+++ 箱の中で試行錯誤+++
箱庭療法のセッションで大切なのは、制作者の気が済むまで試行錯誤することです。制作者が普段通りの思考回路と感性をつかっていたのでは、何も変化は起こりません。当たり前のようですが、わかりきっていることをなぞるだけでは、人の心に動きは起きないのです。
箱庭を実際に置いてみるとわかるのですが、意識ではこういうふうに作りたい、これを使いたいという気持ちがあるにもかかわらず、なぜか置けない、しっくりこないということがあります。予定していたものと違う形でおさまることもしばしば。
これは、意識や考えとは別の感覚が働いているからなのです。
私たちは、大人になればなるほど頭でモノを考え、経験値に頼ります。それはそれで自然なことには違いないのですが、理屈で分析することには限界があります。意外な気づきをもたらすには、未知の部分や未開の部分を刺激することが必要です。そのためにカウンセラーは存在しているようなもの。
また、人間の優れた機能であるバランス感覚や自然治癒力などは、感覚や直観の世界におさまっています。つまり無意識の世界です。
箱庭を作るときは、もちろん覚醒時ですから意識はあり、頭は働いています。
ただ、なんとなく身体が感じている「感じ」に導かれている・・その状態が無意識にあるものを刺激し、制作者の可能性を引き出し、必要な変化を導くのです
。
ですから、箱庭をつくりながら「何となくこんな感じ」「何かちがうな・・」「これこれ、ぴったり」という体験をすることそのもに意味があるということなのですね。
全般的な心理療法の根幹というのはシンプルにいうと、無意識にあるものを統合する作業です。それをフロイトは無意識を意識化すると言ったり、ユングは個性化の過程と言ったり、ロジャーズは自己実現と言ったりするわけです。この無意識にあるものをいかに統合し、心が本来持っているバランス機能を回復していくか。そのプロセスそのものが気づきであり、成長なのです。
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